ミャンマーでは、ここ数年30件から40件のペースで新しい法律が制定されています(従来の法律を改正する法律及び廃止する法律を含みます。)。
昨年は40件の法律が成立し、このうち意匠法、商標法、特許法等の知財に関する法律の制定が大きなトピックでした。
今年は本記事執筆時点における対外公表ベースで5件の法律が成立していますが、制定のペースは昨年に比べ遅いと感じられます。
なお、今年に入って本記事執筆時点で成立している法律は、次のとおりです。
1 倒産法
2月14日制定 2020年連邦議会法律第1号
2 農地法を改正する法律
2月14日制定 2020年連邦議会法律第2号
3 ミャンマー連邦憲法の第2回改正法
3月26日制定 2020年連邦議会法律第3号
4 ミャンマー連邦地質学評議会法
3月30日制定 2020年連邦議会法律第4号
5 ミャンマー連邦医薬品評議会法を改正する法律
4月3日制定 2020年連邦議会法律第5号
このうち、特に注目される法律は倒産法で、20世紀初頭に成立したビルマ法典所収のThe Yangon Insolvency Act 1902及び The Myanmar Insolvency Act 1920に代替するものとして成立しました。
ミャンマーにおいては、植民地時代にインド法典を基本的に移植する形で成立したビルマ法典(The Burma Code)が独立後の政情不安等様々な要因の中で修正されることなく生き残っていわば「不磨の大典」と化し、法律が現代にそぐわない状況が続いていましたが、近年ビルマ法典所収の各法律を廃止する形で制定される法律が少なからず見られます。その意味で、ミャンマーの法体系もようやく「現代化」されて来たということができます。
ただ、ビルマ法典は、その多くの法律がイギリス植民地時代に制定されたものであるため、原文が英語でアクセスが容易なものが多かったのですが、新しい法律はすべてミャンマー語が正文となっています。当然容易には翻訳版が出回らない(会社法等、外国人にとっても関心が高い法律については、比較的早い段階で各国の翻訳版が出ましたが)ため、ミャンマー法へのアクセスにはなお言語というハードルが存在するのが悩ましいところです(もっとも、ミャンマー語の文法構造は日本語と同じなので、実は日本語と同じように読めるのは面白いところでもあります。)。
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