中国:民法典公布(速報)

2020.6.1

1 民法典の公布

5月28日に閉幕した2020年の全人代は、その最終日に民法典を採択し、同日の主席令第45号により公布されました。

中国においては、これまで民法典に相当する各規定が全く存在しなかったわけではなく、「民法総則」、「契約法」、「物権法」等の形の個別の法律として存在していました。

今回の「民法典」は、このような個別の法律を統合させつつ、その内容を修正・補充する形で作成したものと評価することができます。

なお、その全文については、2020年6月1日時点では、政府レベルの公式のウェブサイトでの正式な発表の事実を確認していませんが、一部の比較的信用度の高いウェブサイトで既に発表されています。よって、以下では、現時点で入手可能な全文データに基づきポイントを説明いたします。

 

2 全体構造及び主要なトピック

民法典は、その各章及び節の標題レベルにおいては、そのほとんどが既に存在している各法律のそれを引き継いでおり、各条文については文言の調整が見られるものの、大きな部分で従来の規定からの大きな変更はないと理解してよいと思います。

しかしながら、特に大きな変更点としては、次の事項を挙げることができます。

(1) 「契約の保全」についての規定が独立した項目として掲げられたこと。

これには、日本における債権者代位権及び詐害行為取消権が含まれます。

これらの事項は、「契約法」第73条及び第74条にも概括的に存在したものですが、民法典では(基本的な思想は大きく変わらないものの、)若干規定内容が細かくなっています。その一定程度の詳細化の背景には、「『契約法』の適用の若干の問題に関する最高人民法院の解釈(一)」(1999年12月29日施行)の影響を見ることができます。

(2) 典型契約に「保証契約」及び「ファクタリング契約」が追加されたこと。

保証契約については、従来「担保法」に規定が存在しましたが、その内容を調整の上、典型契約の中に入れ込んだものと評価できます。

一方、ファクタリング契約については、完全に新規の典型契約類型です(なお、ファクタリング自身は、これまでも中国において行われていました。)。

(3) 事務管理及び不当利得の規定が追加されたこと。

これらは、講学上の議論があったものの、これまで法律上明確にされていなった事項です。

民法典では、これらを「準契約」というカテゴリーで明文化するに至りました。

(4) 人格権に関する諸規定が設けられたこと。

民法典では、人格権を1つの編(第4編)として各種規定を設けました。民法典とこれまでの諸法律の大きな差異、言い換えれば今回の民法典の「目玉商品」は、本編の新設にあるということができます。

特に、その第6章における「プライバシー権及び個人情報保護」に関する規定は、大きく注目されます。ここにおける個人情報保護の規定(第1034条ないし第1039条)は、あくまでも概括的な内容でありますが、そこで使用されている用語には、欧州一般データ保護規則(GDPR)の影響を看取することができます。これについては、また機会を改めてコメントする予定です。

 

3 目次の紹介

現在入手可能な民法典の前文に基づき、同法典の目次を別添のとおり作成いたしました。ご参考となれば幸いです。