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タイ入国顛末記~その1:はじめに、そしてビザの取得まで

更新日:2023年7月31日

1 はじめに


2020年10月9日現地時間15時過ぎ、6か月半ぶりにバンコクに降り立ち、バンコク市内の某ホテルでの隔離生活に入りました。

2020年の3月下旬に帰国直後にタイ政府が新型コロナウイルスの世界的流行を理由にタイへの入国を厳しく制限してしまったため、私もタイに戻ることができず、いわんやもう1つのメインフィールドである中国には行けるはずもなく、「現場にいない」ことについて半ば忸怩たる思いで過ごしてきた日本での日々の後のタイ入国です。

スワンナプーム空港から隔離先のホテルまでの移動の車の中から青々とした熱帯の植物、仏塔、放置されて荒れ放題の建物といったものを見ているうちに、「現場に帰ってきた」との思いがあふれてきました。

さて、今回のタイ入国に至るまでの手続は、慣れていないこととはいえ結構面倒なものでした。コロナウイルスの流行が落ち着くにつれこのような煩瑣な手続はなくなっていくのかもしれず、また、それを心から望みますが、もしかしたら後に入国される方々の参考になるかもしれない、という思いと、その一方で自分自身の備忘のため、ここに顛末記を4回シリーズで残しておきたいと思います。

2 現在タイに入るために必要な手続


この記事の執筆日(2020年10月10日)現在、日本人のタイへの入国はレジデンストラックのプログラムに従い行われることになり、一般的(就労目的の入国を前提とします。)には大要次のステップを経る必要があります。


(1) フライトの予約

(2) ビザ申請(予約、申請、取得)

(3) ASQ(Alternative State Quarantine。要は隔離)のためのホテル予約

(4) 旅行保険への加入

(5) COE(Certificate of Entry=入国許可証)の申請+取得

(6) PCR検査の実施+陰性結果証明及び搭乗可能健康証明書(Fit to Fly/Travel Health Certificate)の取得

(7) 出発空港でのチェックイン

(8) 入国時におけるT.8フォームへの記入

(9) 空港内での検疫

(10) 隔離用ホテルへの移動⇒隔離

このうち、既にマルチビザを有し、又は再入国許可(Re-entry Permit)を取得している方の場合には、当然のことながら(2)の手続は不要です。私は、タイに戻れないままでいた今年7月末日で再入国許可が切れてしまったので、再度取り直しを余儀なくされました。また、多くの手続や書類の準備については、企業にお勤めの方の場合には総務部門などが行ってくれるかも知れませんが、私の場合には経験も兼ねて日本で行うべき手続を全部自分で行ってみました。

なので、これからご紹介する内容も、あくまでも私の経験に基づくものにすぎません。状況に応じてこれと異なる状況が生ずる可能性もあることについては、あらかじめご了承ください。

3 ステップ1-飛行機の予約


ビザもCOE(入国許可証)もない、つまり、入国が確実なわけではないのになぜ最初に飛行機の予約?という疑問を持たれる方もおられるかもしれません。実際、私はそう思いました。でも、規則がそうなっているのであれば致し方ありません。

ところが、現在、タイへの航空便は、各航空会社の通常のウェブサイトで予約・購入することができません。というのも、現状、定期便は運休扱いとなっており、特別便(チャーター便)の形で指定された日に指定された会社の航空便のみが飛んでいる状況だからです。

この特別便については、タイ大使館のホームページ(http://site.thaiembassy.jp/jp/)の「お知らせ」に各月中旬頃、翌月分の便がまとめて掲載されます。2020年10月分の特別便のお知らせを一例として示します。


予約の際には、各便に記載されている発売開始日以降、希望する日付+便名の部分がリンクとなっていますので、クリックして各航空会社(又はその関連会社)のウェブサイトにジャンプします。私の場合には、上記のとおり10月9日のNH847便を選んでリンク先のサイトから予約手続を行いました。その後、私の場合には今回の便を取扱っているANAセールス株式会社からメールベースでのやり取りにより予約確認、支払手続、航空券発行等の手続を行いました。支払いについては、クレジットカードの取扱いはなく、銀行振込でしたが、これについては運航会社により異なるかもしれません。

なお、運賃は、チャーター便であるからでしょうか、定期便におけるfixなどの割引運賃の適用がないため、残念ながらかなり割高なことには十分ご留意ください。まあ、航空会社も大変な状況ですし、ここは致し方ありませんね。

4 ステップ2-ビザ申請


(1) ビザ申請予約

さて、飛行機の予約ができてほっとするのもつかの間、次に待ち構えるのがビザの申請です。

ビザの申請は最近アポイントメントを取って行うのが主流ですが、コロナ下のタイ大使館においては、ビザの申請日が搭乗予定日により決まっているので注意が必要です。タイ王国大使館の次のウェブページ(http://vabo.thaiembassy.jp/vabo/index.php)をご覧ください。


各大使館・総領事館での申請日程については、上記の「申請地」タブにある希望の申請場所をクリックして確認します。また、アポイントメントについては、上記の「予約開始」タブ又はこのページの下の方にある「予約開始::Make an appointment」リンク(これが小さくて目立ちにくい!)から行います。

また、ここで注意を要するのが、①飛行機の予約からビザ申請までの時間が比較的タイトであり(私の場合には、9月17日の発売に対してビザ予約が9月24日から29日)、②それにもかかわらず申請日までにタイ側でビザ申請に必要な書類を作成して送付してもらう必要がある(私の場合には、飛行機の予約後すぐにタイ側に予約確認書のpdfを送付し、その後書類一式が申請の2日前にEMSで送付されました。)ことです。

とにかく、私の場合には、すべてがぎりぎりのタイミングで手続を進めていくことになり、これが意外とストレスフルでした。なお、今回は、既に過去にビザを申請したことがあるので、従来の書類を適宜活用することができましたが、初めてビザを申請される方の場合には、この書類作成において、①自己の経歴書作成、②最終学歴の卒業証明の取得、③日本の職場における在職証明の取得、④日本における保証人による書類及び身分証明書(通常はパスポート)の写しへの署名、といった作業が必要となるので、飛行機の予約の前から十分なリードタイムを取ってこれらの準備を開始する必要があると思います。

また、写真についても指定された大きさ(4.5cm×3.5cm)の写真2葉を申請書に貼付する必要があります。なお、タイにおいては写真撮影について、場合により「背景は白、フォーマルな服装、眼鏡を外す」などといった要求がなされる場合があるのですが、少なくともビザ申請の段階では特にそのような要求はないようであり、私も青い背景かつ眼鏡着用の証明写真で対応して特段問題がありませんでした。

(2) ビザ申請

ビザの申請にあたっては、本人が指定された日時に大使館/総領事館に出頭する必要があります。東京の大使館の場合には、門の警備員室で用向きを告げて体温を測定した後に敷地に入って建物の前で順番に並びます。私の時は、最大5人が館内に入ることを認められ、通常のビザ申請書類に加えて航空券の予約確認書を提出しました。

係官からは、書類の提出と引き換えにゆうパック(着払い)の伝票が渡されるので、係官が書類の不備をチェックしている間に記入をしておきます。コロナ下においては、従来ビザが貼付されたパスポートを大使館に受領しに行くところをゆうパックでの郵送に変更しているためです。パスポートをゆうパックで送られるのも怖いなあと思いつつ(もちろん、タイ大使館は、「送付における紛失等のリスクについては、責任を負いません」という態度です。)も、致し方ありません。

その後、書類が受領されれば、別の窓口で発行手数料(9000円)を支払うよう指示され、呼ばれたらこれを支払い、申請手続は終わります。

(3) ビザ受領

大使館では、ビザについては翌業務日の終わりには発送手続がなされる旨のアナウンスがあり、実際翌々日の午前にビザが貼付されたパスポートが送られてきました。料金は、870円くらいだったと思います。ただ、料金は、距離によって違いが出てくるかもしれません。

なお、私などは、うっかり着払いであることを忘れてしまっていて、慌てて小銭を財布から取り出しましたが、皆さんにおかれてはうっかりされることのなきよう。

ともあれ、タイ渡航で最も重要なもの、ビザを取得することができました。でも、それが一連の手続の序曲でしかなかったことは、その時あまり気に留めていなかった私なのでした。(続く)


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